
清水焼の特徴
「京都・清水焼」は、あまりにも多種多様で多岐多彩なため、「織部」「備前」などの様に、はっきりとした特徴を挙げる事ができません。
“特徴がないところが清水焼の特徴”とも言われるほどです。つまり、作家・窯元それぞれが自由な作風で創作し、伝統を守りつつも形式にとらわれない自由さを許容しているのが「京都・清水焼」なのです。
あまり知られておりませんが、「京都・清水焼」の窯元達は、江戸時代各地の窯に招かれて指導にあたりました。したがって、各地の「焼もの」に多大なる影響を及ぼしているのです。したがって、現代に伝わる和食器の源流は「京都・清水焼」と言っても過言では無いと考えます。
また発生以来、明治に遷都されるまでの長きに渡り日本の中心地、都であった京都に育まれた「京都・清水焼」は、最高の技術と意匠を兼ね備えた最も日本らしい「焼きもの」である事は間違いありません。
それらは優雅で味わい深い高級芸術品と言って憚らない日本の代表的な伝統工芸品であり、所有する人に和の心と最高の満足を伝えるものなのです。
さらに、京都・清水の窯元は、弊社の有る大阪より1時間足らずで到着します。そして、皆様に代わって直接名工や作家の方々と話をし、手にとって触れた作品のみをご紹介する。それが京都・清水焼へのこだわりであり、こだわれる所以なのです。
京都・清水焼の歴史
京都で生産される食器は「京焼(きょうやき)」と呼ばれます。その中でも清水寺の参道である五条坂界隈にある窯元が作る食器を「清水焼(きよみずやき)」と言い、正式な名称を「京都・清水焼」と言います。
「京焼」は千利休が生まれる70年ほど前、宝徳(1449年~1451年)頃に小松谷の音羽屋九朗右衛門が開いた愛宕群清閑寺の須恵器窯に始まるとされています。また、永正(1504年~1521年)渋谷の元吉が深草において古法を研究の末、釉(くすり)かけ法を見出し、清水に窯を移したと伝えられています。
天正(1573年~1592年)から寛永(1624年から1645年)頃になると、正意万右衛門、宗三、源介、源十郎などの名工が誕生。音羽、清閑寺、小松谷、そして清水の地で製陶が行われていたとされています。
「京焼・清水焼」は、安土桃山時代(1568年~1573年)桃山文化に育まれ、芸術品としての領域に到達。江戸初期には“京焼の祖”といわれる「野々村仁清」により今までにない造形に華やかで優美なデザインがほどこされ、京都ならではの色絵陶器が完成。さらにその陶法を引き継いだ尾形乾山(兄は二曲屏風の風神雷神図を描いた画家である尾形光琳)や奥田頴川、さらには九谷焼の再生に尽力をした青木木米などによって今の「京焼・清水焼」は確立。華麗な京都の陶磁器が開花しました。
また京焼の陶工たちは、近畿ばかりでなく中国・四国・北陸など各地の窯に招かれ指導にあたったため、「京焼・清水焼」はその影響を全国に及ぼしています。
明治になると京都の陶磁器業界は伝統技法を守りながら、一方でヨーロッパの化学的、工業的な製陶法を全国にさきがけて積極的に導入します。
明治1年(1868年)、三代目清水六兵衛と真葛長造は横浜で石膏型使用の製法を修めて京焼に活用。明治5年(1872年)錦光山宗兵衛が輸出品を試作し、神戸の外国商館で試売会を開いて海外進出のきっかけをつくりました。
明治6年(1873年)には、ウィーン万国博覧会へ京都の陶磁器を出品。大変に高い評価を得ました。さらに明治11年(1878年)、ドイツ人技師ゴッドフリート・ワグネルが招かれ、西洋釉薬などの新しい製陶技術が導入されました。
そして今日、多くの作家は明治に発達した量産の製法から古来の手仕事を中心とした伝統的な技法に戻り、雅やかな意匠を特色とする高級茶器や食器、花器などが作られています。
焼物(陶器・磁器)の取り扱いについて
- その1 「底を滑らかにする」
- お手元に作品が届きましたら、まず最初に底をご覧ください。つまりテーブルなどに置いた際、直接接地する部分です。これを“高台”と言いますが、この“高台”がざらついていると、家具に傷をつけたり、他の器を傷めてしまう事があります。包丁を砥ぐ砥石、もしくは細かい目のサンドペーパーで“高台”を滑らかにしてください。砥石もサンドペーパーも無い場合は、他の器の“高台”を使って擦りあわせるのも良い方法だと思います。ただし、どの方法でも同じですが、作品を傷めない様丁寧にお手入れしてください。
- その2 「煮沸する」
- 陶器(土もの)の場合は、使用前には大き目の鍋に真水と一握りの米を入れ30分ほど煮沸し、一晩浸けておいてください。作品の焼きが締まる効果と汚れや臭いの付着防止となります。
- その3 「料理を盛り付ける前の準備」
- 刺身など冷たい料理の場合は、器を使用する30分程度前に氷水をはっておくか、冷蔵庫で冷やしておくと臭いが付着しにくくなります。また温かい料理の際は、お湯などに浸けて暖めておけば油分や汁気が表面に付着しにくくなります。
- その4 「色絵、金や銀で絵付けされた作品にレンジは禁物」
- 藍色の呉須(ごす)で描かれた文様などは影響が少ないですが、朱や緑で絵付けされた作品、特に金や銀で彩色した部分は作成過程の最終段階で施されており破損しやすい部分です。したがいまして電子レンジで加熱すると色落ちや黒ずみ、剥離する場合があります。
- その5 「酢の物の盛り付けは避ける」
- 酢には漂白作用があり、描かれた紋様などが化学変化で変色する場合があります。神経質になるほどの事ではありませんが、表面に絵付けされた作品はできれば酢の物に使用しない事をおすすめします。
- その6 「最大の敵はカビ」
- 陶器も磁器も、最大の敵はカビです。万一、カビが付着すれば漂白剤などを使用しなければ除去する事が困難となります。もちろん漂白剤は、絵付けされた紋様だけでなく作品自体も傷めます。特に上薬のかかっていない高台部分などは素焼きに近い状態であり、使用後の洗浄で水分を含むと乾燥にも時間がかかります。
洗浄後は清潔な木綿の布巾やガーゼタオルなどでよく水分を拭き取り、風通しの良い場所でしっかり乾燥させてから収納してください。 また、金・銀の彩色部分がある場合は、強く擦らずに軽く押さえる様にして水分をふき取ってください。 - その7 「なるべく洗剤は使用しない」
- 油もの以外の洗浄の基本は、素手で水もしくはお湯を使って行います。油ものに使用した後、どうしても気になる場合は薄めた中性洗剤を柔らかいスポンジに含ませ、よく泡だたせてからやさしく汚れを落としてください。
食器洗浄器、乾燥機、金属タワシ、クレンザーの仕様は厳禁です。 - その8 「収納にも気遣いを」
- 本来、器は重ねて収納してはならないものですが、スペースを考えれば重ねて収納する事は一般的だと思います。
特に磁器表面は傷付きやすいものが多いので、異なる種類(形状)の器と重ねて収納する事は避けてましょう。また、重ねて収納する際は布や和紙、キッチンペーパーで器と器が直接触れない工夫をお願いします。